ハワイ島キャプテンクックにフルーツパークがオープン!  

 

                          

Article/Pictures: Yurie Sakakibara

(East  West Journal)

 

 

 

ハワイ島キャプテンクックの農業協同組合の実験農場に、ハワイに育つ果物を集めた「フルーツパーク」が101日オープンする。この「フルーツパーク」

は、ハワイ大学マノア校熱帯農業人事学部とコナ農協が、米農務省の補助金を得て、「12種の果樹プロジェクト(The 12 Trees 

Project)」の一環として運営するもの。

12種の果樹プロジェクト」は、ザクロ、イチジク、ビワ、キンカン、マイソルラズベリー、ポハ、チェリモヤ、スリナムチェリー、トロピカルアプリコッ

ト、トマリーリョ、グルミチャマ、ランプールライムの12種類の果樹の耕作を農家に奨励すると共に、農協が果樹を一定価格で買い取る保証をするもの。ま

た、地元シェフや料理を学ぶ学生に、これらの果樹を使った料理を創作させ、一般に広めることにより、ハワイにこれらの果樹の生産を定着させる企画。  

「フルーツパーク」は、主にこの12種の果樹を植えた果樹園で、耕作に興味のある人に間近に実物を見る機会を与えると共に、一般の人も気軽に訪れて、果

樹に親しむことが出来る場所になっている。

「フルーツパーク」と「12種の果樹プロジェクト」の企画監督のケン・ラブ氏に、二つの企画について話を聞いた。  

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「フルーツパークは、農家、農協、料理学校の皆に、いい事ずくめの企画です」

「フルーツパーク」と「12種類の果樹プロジェクト」の企画監督のケン・ラブ氏

 

■日本のフルーツパーク

日本では、先祖代々の畑を持つ農家が、近年輸入作物や大規模農業に押されて、農業を止めたり、農地を売らざるを得なかったりしています。

農家は、耕作した作物を現金化する手段や場所を常に考えないといけませんし、時代の変化にも即応しないといけません。農業従事者の高齢化に加え、後継者

のいない板挟みもあり、農業を続けて行くには、新たな試みを考え出さないといけない状況になっています。

そんな中で、最近日本のあちこちに出来ているのが、実際に運営している果樹園と、博物館的な観光施設の要素を兼ね備えたフルーツパークです。

ハワイの農業も日本と同様の問題点があり、ハワイの生活様式を守りつつ、効率の良い農業を維持して行くには、日本のフルーツパークは、最良のお手本で

す。その中でも、名古屋市の東北端の東谷山(とうごくさん)にある「東谷山フルーツパーク」は、コナ地区の農業関係者にとって良い見本となりました。

1980年に開園した「東谷山フルーツパーク」は、観光客や学校の遠足場所として人気があり、近郊の農業地域にも様々な役割をしています。

園内には、150種類、1000本以上の果樹があり、イチジク、キウイ、スモモ、モモ、カリン、アンズ、リンゴ、ビワ、ナシ、クリ、柑橘類など、世界各

地の果樹園の見本が造られています。

愛知県は日本一のイチジクの産地でもあり、桃や柿などの果物の産地としても有名で、「東谷山フルーツパーク」の近隣にも沢山の果樹園や畑があります。

「東谷山フルーツパーク」で観光客に人気があるのは、園内にある直売店で、園内や近隣で採れた果物や農作物を売っています。

園内には、世界の熱帯果樹を集めた二つの温室があり、ジャックフルーツ、レイシ、ゴレンシ、バンレイシ、マンゴー、パッションフルーツ、パパイヤ、バナ

ナ、グアバなど、珍しい果物を間近に見ることが出来ます。

これらの果物の収穫時には、詳しい説明や特別イベントも行われ、味見をしたり、売店で買えるので、一番の目玉になっています。

近隣の農家は、作物を売る場所として利用出来、来園者は、新鮮な野菜や珍しい果物を買えるので、売る方と買う方の双方にとって良い場所になっています。

「東谷山フルーツパーク」は、観光名所でもあり、毎日農作業をしている果樹園でもあるので、順路に沿って歩くと、職員が枝を剪定していたり、実に袋をか

けていたりする作業を見ることが出来ます。

このフルーツパークが出来た理由は、日本各地の果物店やデパートで、ドリアンやドラゴンフルーツ、パッションフルーツなどの珍しい果物を日常的に扱うよ

うになり、消費者も南国の果物に興味があり、高価にもかかわらず需要があることが分かったからです。

園内には、図書館や会議室などもあり、近郊農家に農業指導や新情報を提供し、情報交換や教育活動の場所としての役割もしています。

また、季節の果物を味わえるレストラン、釣り堀池、日本庭園もあり、子供向けのアトラクションや一般の人を対象にした園芸教室など、各種イベントも常時

行われています。

地元に活気を取り戻した「東谷山フルーツパーク」は、何度でも行きたくなる観光地であると共に、近郊の農業地域にも大変有益な施設です。

 

■ハワイ島に応用する

ハワイ島コナ地区には、コーヒー農園が沢山ありますが、コーヒー耕作は重労働の割には利益がありません。もっと効率良く安定した収入を得られる農業の模

索が続けられています。

日本だけでなく、アメリカでもトロピカルフルーツは、高価ですが需要はあります。農家に取っても、単価が高く、他で耕作出来ない作物を生産した方が収益

率が高いですから、トロピカルフルーツは、ハワイの気候に合った耕作しがいのある作物です。

その考えを元に、ハワイ大学マノア校熱帯農業人事学部とコナ農業協同組合(Kona Pacific Farmers 

Cooperative)は、コナ地区に、「東谷山フルーツパーク」のようなフルーツパーク建設計画を作りました。

その建設計画を米農務省に提出したところ、156800ドルの補助金(3年間総額)を得られたので、コナ農協の実験農場にフルーツパークを造る運び

となりました。

 

12種の果樹の選択

農業は、作物を耕作して売るだけでなく、ずっと続けられるようにすることも大事です。作物を生産し続けるには、その作物の需要を伸ばして、収入を安定さ

せないといけませんし、環境にも良くないといけません。

需要を伸ばすには、その作物を広く一般に広め、よく使う作物にしないといけません。それには、まず地元シェフや料理学校の学生にトロピカルフルーツ使っ

てもらい、その果物の料理や利用法を広めるのが効果的です。

フルーツパーク建設計画者たちは、まずハワイで育つ約100種類の果物リストを作り、地元シェフにどの果物を使った料理を作りたいかのアンケートを取り

ました。

その結果、ザクロ、イチジク、ビワ、キンカン、マイソルラズベリー、ポハ、チェリモヤ、スリナムチェリー、トロピカルアプリコット、トマリーリョ、グル

ミチャマ、ランプールライムの12種類の果樹を選びました。

この12種類は、生食にも料理にも使え、人気上位のものを中心に選んでいますが、それらをフルーツパークに植えた場合、1年を通して、常に何かを収穫出

来るように組み合わせています。毎月一つ〈今月の果物〉を選び、詳しい説明をしたり、試食などのプロモーションをする予定です。

選ばれた12種類の果樹を試験場で有機栽培し、実際にハワイで育つことを確認しつつ、実が成れば、地元シェフや、「西ハワイ・コミュニティ・カレッジ料

理学校(West Hawaii Community College Culinary 

School)」の学生に2年間無償で提供し、その果物を使った料理を考案してもらっています。

地元シェフや料理学校の学生の考案した料理は、選考後、料理本になり、地元のレストランなどに配られる予定です。

また、ハワイ島の農家には、この12種類の果物の栽培を奨励しています。フルーツパークには、見本となる果樹が栽培してあるので、いつでも見る事が出来

ます。

また、採れた果物は、フルーツパークに隣接した農協で一定金額で買い取ってもらえる仕組みになっています。例えば、イチジクは175セント、ザクロは

1ポンド4ドル50セント、ビワは1ポンド2ドル50セントから3ドル50セント、キンカンは1ポンド4ドル50セント、マイソルラズベリーは1ポンド

7ドルで買い取ってもらえる保証がされています。

農業の問題点の一つは、天候や市場の変動に左右されるので、せっかく丹精込めて育てた作物を安く売らないといけないこともよくあります。でも、この12

種類の果物を育てた場合は、確実に一定金額で買い取ってもらえる保証があるので安心です。

農協は、買い取った果物を農協内の売店で売ったり、注文のあったレストランや店舗に売る仕組みになっています。逆に、レストランや店舗から、例えば、

「イチジクを100個欲しい」とか、「ザクロを20ポンド欲しい」という注文があれば、栽培している農家に伝えて、それに対応出来るようにします。

 

■キャプテンクックのフ ルーツパーク

キャプテンクックのフルーツパークは、「東谷山フルーツパーク」よりずっと小規模ですし、ハワイ島ののんびりとした田舎にあるフルーツパークです。

公有地に出来たフルーツパークですし、隣接した農協が管理をするので、利潤を追求する施設ではありません。あくまでも地元農家が持続可能な多角農業をす

る見本を示し、安定した収入を得られる手助けをする場所です。

また、これまでコナやキャプテンクック地区に植えたことのない果樹を中心に有機栽培し、様子を見る農業試験場でもあります。

ですから、12種の果物の他に、バナナ、パッションフルーツ、ビリンビ、マミーサポテ、グリーンサポテ、ケテンビラ、アメダマノキ(トウダイグサ)な

ど、珍しい果物も植えられています。

一般の人にとっては、〈農業ツアー〉の一環として、トロピカルフルーツの果樹園を間近に眺められ、果物について何かを学べる場所です。

園内には、トロピカルフルーツについての各種パネルが展示された〈トロピカルフルーツ・キオスク〉と、コーヒーについての展示パネルのある〈コーヒー・

キオスク〉があります。

環境を考慮した施設なので、二つのキオスクは、自然光が入るように骨組みだけの屋根が設置されています。また、果樹園にはマカデミアナッツの殻を上層土

として敷いていますし、出来る限りリサイクル品を使っています。

隣接した農協では、現在近隣で採れたコーヒーや農作物などを販売していますが、いずれフルーツパークで採れた果物も販売する予定です。

12種の果樹プロジェクト」とフルーツパークは、農家、農協、料理学校の皆に、いい事ずくめの企画です。ハワイ島の農家にとっては、多角農業の見本で

あり、効率よく収入を得る例示となります。

農業試験場の役割もしているフルーツパークで、間近に果樹を眺め、栽培の仕方を学び、耕作して実が成れば一定金額で売れる保証もあります。

農協に取っては、有機栽培の果樹園が敷地内に出来ることで、組合員の実地教育の場にもなり、一般の人も訪れることで、売店の売上を伸ばすことが出来ます。

料理学校にとっては、無償で果物を提供してもらえることで、経費の節約にもなり、学生に新たな料理を創作させる機会も与えられます。この二つのプロジェ

クトでハワイに新たな果物生産が定着すればいいと思います。

 

   12種の果樹

 

●チェリモヤ

エクアドル・コロンビア・ボリビア原産。ハワイには1790年代に持ち込まれたと言われている。実は黄緑色で、果肉は白い。バナナやパイナップル、カス

タードクリームに似た味。

〈用途〉生食、サラダ、ジュース、シャーベット、アイスクリームに乗せて食べる。レモンやライムをしぼって食べても美味しい。

 

●ザクロ

インド北部・イラン原産。古くから耕作されている果物の一つで旧約聖書にも記載されている。堅い外皮の中に甘酸っぱい実が沢山詰まっており、実には小さ

な種がある。可食部は実の重量の約半分。

〈用途〉生食、ジュース、ジャム、シロップ、ソース、ワイン。

 

●トマリーリョ

南米原産でツリートマトとも呼ばれる。中南米、スリランカ、オーストラリア、ニュージーランドで広く耕作されている。米農務省は1913年にアルゼンチ

ンから種を入手している。実は赤く、スパイスのきいたトマトのような味。

〈用途〉サラダ、ジャム、チャツネ、ソース、焼いて食べる。

 

●グルミチャマ

ブラジル原産でブラジルチェリーとも呼ばれる。ブラジルでは、利尿剤やリウマチの民間薬としても使われる。ハワイには、1971年に持ち込まれたと言わ

れている。ブラックベリーや黒さくらんぼに似た味。

〈用途〉生食、ジャム、ソース。

 

●マイソルラズベリー

ミャンマー原産。インドやフィリピンなど、暖かい地域でも育つラズベリー。実は濃い紫色で、香りの良い、甘い木いちご。刺があるので収穫には注意を要す

る。

〈用途〉生食、ジャム、ソース。

 

●スリナムチェリー

スリナム・ギアナ・ブラジル原産。ポルトガルの探検家がブラジルから種をインドに持ち込み、インドに定着した、その後インドからイタリアに持ち込まれ

て、庭に植えられていたという記録がある。

開花後3週間程で実が熟す。実は深紅で、酸味のあるサクランボやグレープフルーツに似た味。

〈用途〉生食、ジャム、ジュース、ソース、サラダ、カレーに入れる。

 

●ポハ(シマホオズキ)

南アメリカ原産。南アフリカやガボンでは19世紀初頭から主要産物になっており、ニュージーランドでは政府が料理に使うことを推奨している。ハワイには

1825年以前に持ち込まれたと言われている。実は黄緑色で甘酸っぱい。

〈用途〉生食、ジャム、ソース。

 

●トロピカルアプリコット

刺のある灌木で、高度の高低に関わらず育つ。降雨量や灌漑設備が適切であれば、年4回実を収穫する事も可能。酸味の強いアプリコットやももに似た味。

〈用途〉ジャム、ソース、パイ、チャツネ、ワイン、肉類のつや出しに使う。

 

●イチジク

世界で一番古くから耕作されている果物の一つで、紀元前2000年頃のバビロニアの記述にイチジクのことが書かれている。エジプト、ギリシャ、イタリア

など、多くの国で神聖な果物とされていた。実は甘く、小さな種が沢山ある。

〈用途〉生食、ジャム、茹でたり焼いて食べる。乾燥させてドライフルーツにする。

 

●ランプールライム

酸味の強いレモンに似た柑橘類。ハワイには1885年に持ち込まれたと言われ、1930年代には、広く一般に使われる果物となった。成熟した木には、約

2000個の実が成る。

〈用途〉ジャム、マーマレード、ジュース、デザート。

 

●ビワ

中国原産。中国、日本、スペイン、アルジェリア、イスラエル、インドなど広範囲で耕作されており、種類も豊富。イタリアではビワの花のハチミツが最も人

気がある。中国では、ビワの葉を風邪や咳止めの民間薬として用いる。実は甘く、白梅に似た味。

〈用途〉生食、シャーベット、シロップ漬。

 

●キンカン

中国が原産と言われており、1178年の中国の書物に金柑のことがかかれている。日本では1712年に書かれた書物に金柑が耕作されていたと書かれてい

る。小さくて、やや甘い柑橘類。

〈用途〉マーマレード、ジャム、ソース、砂糖漬。

 

  果物料理の例

 

イチジクギョーザ

〈材料〉イチジク6個、4オンスのフェタ(feta)チーズ、小さじ一杯の刻んだニンニク、コショウ、ギョーザ皮50枚。

〈作り方〉

イチジクの果肉、チーズ、ニンニクをブレンダー、またはフードプロセッサーで混ぜ、コショウを少々ふる。(好みで、これに生のほうれん草、またはご飯を

適量混ぜても美味しい)

混ざったものを、ワンタン皮に小さじ一杯ずつ乗せ、端を閉じる。それをキツネ色になるまで油で揚げる、または、蒸す。

甘辛いソースか、スパイスの効いたチリソースを付けて食べる。

 

乾燥ビワ

〈材料〉ビワ

〈作り方〉ビワを縦に半分に切り、種を取り出す。オーブンの一番低い温度で15分焼く。その後、指で押しても水分がしみ出さなくなるまでオーブンの中に

入れておく。まだ水分が残っているようなら再度オーブンで温める。

 

■フルーツパーク

 101日(日)オープン予定。それまでは、個人または小グループの予約者のみ入場可能。入場無料。

〈場所〉82-5810 Napoopoo Road, Captain Cook

〈時間〉月曜日から金曜日の午前8時から午後4時まで。祭日は休み。訪れる前に必ず電話またはメールで確認して下さい。

〈問い合わせ〉      808・328・2411

info@kpfc.com

 

Acknowledgements: Hawaii Tourism Japan/ Big Island Visitors Bureau/ 

PacRim Marketing Group, Inc/ Hilton Waikoloa Village/ Dollar Rent A 

Car/ Dick Kuehner/ Sotero Agoot